いつまで続く?まぼろし、つながり。
「十八階ビジョン」と「まぼろし」の短編2本立て。
「十八階ビジョン」を読み終えたときは、ふうん、
という感じだった。
そして「まぼろし」に入って、あれ?と思った。
いつの間にか主人公の
見るもの、感じるもの、考えていることに
スッと入り込んでいる自分がいる。
たぶん来月あたり
この本のタイトルを言われたら
思い出すのに時間がかかるだろう。
でも、そういうのとは違う
確かな爪痕が残っている予感がする。
姉妹はいないが
「十八階ビジョン」の姉妹の会話や関係に
妙なリアルを感じ、
「まぼろし」での
家族という枠の中で
娘という役割を引き受けることで背負う闇、
については、心当たりがあり過ぎる。
生田さんの小説がおもしろいのは
悩みや問題、みたいなものが
徹底的に日常に埋め込まれているところだと思う。
いい読書だった。