社員番号352 「お金、持ってる?」


父が他界してこの夏で12年。

父自身が小さい頃、
自分のお父さんが病気していたこともあり
おそらく
「家庭の中のお父さん像」が薄いまま育ち、
親子はこういうものだ、という感覚的なもの
ないまま
「父親」になってくれた父、だったのではないか?と

今になって想像する。


もともとの性格もあるだろうけど、

叱られた覚え、ダメと言われた覚えがほぼないが、
「こう思うよ」と主張してくることもほぼなく、

レジャーや遊び、子どもが喜ぶことにはつきあってくれるが
逆に子どもが何か困っていると、どうしてよいか分からない、


そんな父のスタイルは、

やがて
思春期に突入した娘にとっては
ほどよい距離感として受け入れられ
一般的な「お父さん、あっち行って」には
ならなかった。
(だから、そういう風潮のほうが、むしろ不思議だった)



出かける支度をしていると
「お金持ってるか?」と気遣ってくれるのは、いつも父。

も、もし、できますれば、
その・・・

ある日、同じような会話の末
父が自分の財布を開いて

「あ。オレもない。ママさんからもらって」

そういうときの、父のニヘラっと笑った顔
おかしかったのと、

自分のフトコロ具合に関係なく声かけてくれたんだな、と

今さらありがたくて



ぬっくい思い出に浸りつつ
梅雨寒に新たな不調を呼ばぬよう
靴下をはく。。。

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